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無肥料では野菜は育たないという常識を覆すのは並大抵ではないが… [自然農法:総論]

 何年か前、畑の粗起こしをし、後日、有機肥料敷き込みをして畝を整形し、キュウリ苗を植えつける段取りをしていた。ところが、粗起こしを随分前にやっておいたものだから、その後の雨で畝が整形された状態となり、有機肥料はもう敷き込んであるものと勘違いし、無肥料で苗を植えてしまった。そうしたら、キュウリの生長が弱々しく、葉っぱの色が薄い。最初は苗作りの失敗かと思っていたが、だいぶ経ってから施肥していないことに気付き、あわてて有機肥料を埋め込んだり、即効性の化成肥料を与えたりしたところ、何日かして青々とした葉っぱになり、安堵したところである。“やっぱり野菜は肥料をたっぷり与えてあげなくっちゃ”である。
 こうして、小生は“野菜づくりは肥料をたっぷり使うことだ”という固定観念がしっかりと出来てしまった。また、これは美味しい野菜づくりの常識でもある。

 しかし、この世には無肥料自然栽培という農法がある。2、3年前に、一部その真似をしてみたのだが、ほとんどが失敗した。従前どおりの畝に単一作物を作付けし、いきなり無肥料・不耕起・無除草としたのだから、これではうまくいくわけがないのは必然だが、そのときも、不作の一番の原因は無肥料だと思っていた。

 さて、今年、「たんじゅん農」という新たな自然栽培法を知った。
 これも無肥料農法ではあるが、大雑把に言って、土壌が改善されるまでは少々耕して高炭素素材(特定の植物残渣)を入れ、当面少しは除草する必要があるというものである。
 これに興味を持ち、チャレンジしてみようという気になった。そこで、夏野菜から取り組むこととし、肥料過多を避けねばならないトマトについて、まず試験的にやってみることとした。トマトについては、何年か前に2、3度、時差収穫しようと1か月以上遅く第2弾苗を定植したことがあるのだが、毎回ツルボケしてしまい、全くの不作なり無収穫となった苦い経験がある。今年はトマト苗作りを冷床種蒔きせねばならなかったから、苗の定植は1か月は遅れ、またまたツルボケの恐れがある。よって、思い切って無肥料でいくことにした次第である。
 でも、全くの無肥料で果たしていいのか、とても不安になる。先に書いたとおりキュウリの例で、しっかり固定観念が出来あがってしまっているからである。そこで、無肥料といったん決めたものの、定植穴に牛糞堆肥だけは一握り程度入れ込んでしまった。
 その結果はというと、例年の半分程度の収穫量ではあったものの、半分ダメモトのあきらめがあったから、予想外の収穫となって十分に満足がいった。

 トマトが終わってしばらくして、後作にキャベツ類(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー)の苗植え付けの時期が来た。これも無肥料でいくことにした。しかし、無肥料ではうまく育たないのではないか。トマトはたぶん残留肥料があって普通に育ったんだろうが、もう残留肥料は底を突いているだろう。トマトと同様に定植穴に牛糞堆肥を入れ込みたくなる。ここは我慢。なんとか施肥の衝動を抑えつけて定植できたところである。
 果たして無肥料でキャベツ類が育つか、ずっと気になっていたが、その心配におよばず、すくすく育ってくれた。前の年よりも生育がいいくらいだ。これには驚かされた。

 冬野菜を何もかも無肥料として全部が不作となってはいかんからと、小松菜やホウレンソウは慣行農法とし、それらの第1弾は当たり前のように有機肥料を敷き込んで種蒔きしたのだが、キャベツ類の思わぬ生育ぶりを見て、小松菜とホウレンソウの第2弾畝作りに当たり、はてさていかがしたものかと迷いが生じた。無肥料でいいのではないかと。
 まあ、ここは、肥料の在庫もけっこうあるから、それを使うことにしよう。そう思い直して各種有機肥料を入れにかかった。小松菜とホウレンソウの第1弾などのときは、“しっかり各種有機肥料を入れて、おいしい野菜を作ろう”との思いで、全部の種類の肥料を入れ忘れないように気を配ったものだが、小松菜とホウレンソウの第2弾畝作りにあっては、全く違う気分にさせられた。
 “前回どおりの量を入れるとなると、かなりの量になるなあ。これじゃあ肥料の与えすぎになるんじゃないのかあ。小松菜君たちやホウレンソウ君たちが満腹になりすぎて苦しい苦しいって言うかもしれんぞ。人間や動物と一緒じゃねえのかなあ。人間や動物は餌がメチャ多いと、かえって体に悪いってことになるのは常識だ。それと同じことだ。”
 こうして、トマトのときは“施肥したい”という衝動にかられたのだが、小松菜とホウレンソウ第2弾のときは“施肥したくない”との気分にさせられた。

 この先、無肥料栽培に失敗するかもしれないが、「肥料はしっかり与えなければならないもの」という常識、固定観念が、今ではすっかり失せてしまった。
 この心変わりは、摩訶不思議なものである。いったん染み付いた固定観念というものは、容易には打破できないものであり、常識は非常識・非常識が常識といった柔軟な発想を妨げるのであるが、幸いかな小生はトマトとキャベツ類がたまたまではあろうがうまくいって、そうした固定観念からいとも簡単に脱却できたところです。
 「たんじゅん農」へ一歩前進! そうあらんことを自分で自分に祈っているところです。
(3日後に追記)
 来春に初めて栽培に取り組むジャガイモの畝作りを行うに当たり、“無肥料でいこう!”と真から思っただけではなく、“肥料は毒になる。肥料を入れてはいかん。”とさせ思えるようになった。
 どうして、このように心変わりしてきたのか、自分でもよく分からないが、自然農法へ大きく一歩を踏み出せたことは確かであり、自然農法がきっと成功するだろうという自信さえ湧いてきたから不思議なものである。
 こうして、今、夢中になってしまった「無肥料自然農法」への取り組みである。
 
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