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幾つかの野菜を半日陰で自然栽培 [自然農法:総論]

 半日陰での自然栽培、これは「たんじゅん農」のやり方とは全く異なり、別物であるが、畑の日陰部分、垣根の淵、そして果樹園の中での栽培について、今までの取り組み状況や今後の計画を記すこととする。  

 別立てブログで、ある記事を投稿したところ、読者の方から「野人エッセイす」を紹介いただいた。あまりに記事数が多く、どこに自然農法の詳細が記されているか、探すのに時間がかかったがやっとそれを見つけた。次のものである。
 協生農法 実践マニュアル2016年度版
 これも一つの自然農法として参考になろうと思っている。その基本は、福岡正信(著:無「Ⅲ」自然農法)のそれと同じと思われ、不耕起・無施肥・無農薬で雑草との共生であるが、より具体的に栽培方法が書かれている。
 そのなかで興味を引いたのは、「P.20 野菜は半日陰でよく育つ。果樹との混合栽培が望ましい。」というものであり、うちの果樹園でも取り入れたいと感じたところである。その部分を以下に抜粋する。
 <野菜はなぜ半日陰でよく育つ?>
 一般の常識に反して、無肥料状態では野菜は日向より半日陰でよく育つ。これは、野菜の原種がもともと他の植物との混生密生状態で進化し、樹木の半日陰などの適した光合成効率を進化させてきたことに由来する。
 野菜類中心の収穫をする場合、果樹は育っても2~3m高に収まるよう剪定し、…果樹については収穫が目的ではなく、野菜が育ちやすい環境づくりが優先である。果実の収穫は副産物と考える。
 果実中心の収穫をする場合、果樹を他種混生し大きく育ってしまってよい。野菜類は果樹園の下草として補助的に生産できる。(引用ここまで)

 さて、小生のこれまでの取り組みであるが、慣行農法であっても、日の当たり加減というものも重要なファクターになることを思い知った。日陰がいいものがけっこうあるし、半日陰がいいものもある。それを紹介しよう。
 薬味として利用するミョウガ、ミツバ、青シソは、垣根の淵や隣接民家の北隣なり、畑の隅なり、柿の木の下なりで随分昔から放置したままだが、毎年芽を吹き、一人生えしてくれていた。
 最近、垣根を縮小したり、畑の利用拡大をしたり、柿の木などの周りにクローバ(残念ながら雑草に負けてしまった)を生やしたりといった整備をしたことに伴い、これらを移植したり、種を別の場所に蒔いたりする必要が生じた。

 そこで、まずミョウガだが、2016年2月3月にミョウガはみかんの木の北側で全く日が当たらない場所や隣地(工場建屋)の陰になる部分に移植した。土をどれだけか起こして植え付け、有機肥料や草木灰は後から振っておいた。その結果、みかんの木の北側は順調に生育し、随分と背丈が伸びて2016、17年ともけっこう収穫できたものの、工場建屋の陰は2年とも不作であったし、一部は枯れた。ミョウガは日陰がいいというが、後者が不良になった原因は不明である。よって、ミョウガは、みかんの木の北側だけとし、工場建屋の陰は廃止した。
 もう1箇所ミョウガを栽培しているが、こちらは別の畑で、隣接民家の北隣であり、全く日が当たらない。もう40年にはなろうか、放置したままの栽培である。雑草もけっこう生え、背が低いがミョウガはまずまず収穫できていた。2015年からだろうか、雑草が気になっていたから、芽吹く前の4月に他の場所のついでにミョウガの場所にも除草剤を噴霧している。そうしたところ、ミョウガが優勢となり、少々広がりもみせ、密生もし、ミョウガがたくさん採れるようになった。施肥をしたかどうか記憶にないが、たぶん何もしていないと思う。年に1回、軽く除草剤を噴霧するだけで、あとは放置したままの栽培であるから、自然栽培と言っていいであろう。これは、土壌がミョウガにピッタリの状態になっていると考えるしかなかろう。
 → ミョウガの栽培

 次にミツバだが、これは畑の隅でけっこう日が当たる場所に群生しており、随分と背が伸び雑草と競争状態にあった。そして、虫食いも多かった。ミツバは他にも自生していて、2016年4月に樹木畑の開墾のため、所々で自生していたミツバをあちこちに移植した。そうしたところ、一番成績が良かったのは甘夏の木陰である。日がほとんど当たらないからか背は伸びない(2年目からは随分と背が伸びるようになった)が、葉っぱは日焼けしないし、虫食いも少なく、翌年には群生してくれたから雑草もほとんど生えない。初夏に質のよいものが採れ、真夏にいったん枯れてしまうが、その後再び芽吹き、秋深まった頃に質のよいものが採れる。
 ミツバは無肥料であり、そもそも丈夫なのかもしれないが、甘夏の木陰は虫食いも少ないのだから、土壌条件がミツバにピッタリ合っているのではなかろうか。
 →  一人生えミツバの栽培地移転、日陰が一番成績が良い

 3つ目が青シソである。所々で自生していたものの、虫食いが激しく、薬味としてほとんど使い物にならなかった。まずまず使えたのが、日が当たらない柿の木の下である。ここは2016年にクローバ一色にしようと、枯れかけて種を付けたものを少し移動させて柿の木の北淵に置いておいた。ここも夏は全く日が当たらないが、一人生えし、驚くほどに繁茂し、虫食いも少なく、薬味としていつでも使える状態となった。2、3年前まで堆肥場とし、雑草や野菜の残骸を置いておいた場所であるから、土壌が肥沃であったからかもしれない。
 → 今年も一人生えの青シソがそこら中に

 こうして、うちで薬味として利用するミョウガ、ミツバ、青シソは、全部が日陰ですくすく育つようになってくれた。日陰であってもうまくいかなかった場所があるが、そこは土壌条件が合わなかったのであろう。
 これらは、たいていどこでも育つというものかもしれないが、うちではだめだった場所もあるし、虫の付き方も場所によって大きな違いがある。やはり最適な土壌条件であって、はじめて良い野菜が採れるということになりはしないか。

 他にも慣行農法において半日陰のほうがいい作物がある。フキがそうだ。
 垣根の淵、柿の木の下にフキが自生していたのだが、垣根を縮小したり、柿の木周りをクローバ一色にしようとして、2016年初頭にフキを別の場所(日当たりが良い)へ移植した。そこは長年盆栽置き場になっていた場所で、ビッチュウで起こして十分に有機肥料を敷き込んだところ、初夏に高収穫ができた。収穫後は、翌年のために真夏に日除けでもしようかと思うも、面倒だからしなかった。そしたら、2017年(施肥は草木灰を振った)は前年に比べるとかなり不作となった。真夏の日除けも前年同様にしなかった。こうなると、2018年はもっと不作となるだろう。
 そこで、2017年10月に、隣地(工場建屋)の陰になる部分、ここはミョウガ栽培に失敗した場所だが、ここをフキ栽培の中心にしようと考え、まだ残っていた柿の木の下のフキや最初の栽培場所からはみ出していたフキを10数本移植しておいた。なお、有機肥料を敷き込んだ慣行農法とした。これでもって、栽培比較してみようと考えている。その結果はというと、フキの隣のミョウガ同様に生育はとんと悪く、細いものばかりで食用にならず。よって、工場建屋の陰になる部分での栽培はあきらめるしかない。柿の木の下や淵は成績がいいから、その隣辺りに移植して栽培地を変えることとする。 
 →フキの栽培

 次にニラ。これも半日陰のほうが都合がいいようだ。たぶん葉が柔らかくなるのであろう。
 2014年に種を買って日向で栽培するも、成績は悪かった。一方、一人生えしていたニラも移植して並べて栽培したら、こちらのほうが成績が良かった。2016年10月に栽培場所を変え、しだれ梅の枝先でちょうど隠れる辺りに、従前からのニラだけを移植(有機肥料を敷き込んだ慣行農法)したところ、雑草の生え方が少なく、かつ、好成績が得られた。ここは木漏れ日がせいぜい数時間射す程度の場所だ。ここで、雑草防止のため籾殻を時折被せるも、植えっ放しで毎年ニラを何度も刈り取っているが、当初にくらべ痩せてきた感がする。そこで、2020年1月に米糠を撒き、6月には牛糞堆肥を撒いた。
 →しだれ梅の陰でニラの栽培

 以上、うちの半日陰(というより全く日が射さないか、射してもほんの少々)での栽培5品種を紹介したが、最初は有機肥料敷き込みをしたものがあるものの、今後は無肥料でいくこととする。
 なお、ニラについては時々草引きしないと収穫時に困るが、それ以外は草引きもせず放任栽培できるのではなかろうか。
 ところで、より良い作物にするには、やはり土壌細菌の適正化をより図らねばならないであろう。そこで、冬には刻み藁(または籾殻)なり休耕田から搬入した枯草を敷くといった「たんじゅん農」による「高炭素素材」の補給を考えている。


(ここから下の、ジャガイモショウガチマサンチュについての2021年以降の栽培は、別ページで、それぞれ最初の取り組みも含めて概要を記すこととした。)
 来年(2018年)の計画だが、果樹園の半日陰となる場所が所々にある。ここには、まだ栽培したことがないジャガイモ栽培に挑戦することとしている。
 ビッチュウで少々起こして、「たんじゅん農」にのっとって刻み藁を入れ込むという方法を取り、施肥なしでいくこととしている。
 なお、福岡正信(著:無「Ⅲ」自然農法)によると、果樹園でのジャガイモ栽培(野草化栽培)について次のように書かれている。
 ジャガイモは一度果樹園の中に植えておくと、その場所に毎年出来るようになって、地上を1、2メートルはって強大な生育をして、雑草にも負けないものである。…小芋だけを掘って…多少掘り残しておけば、種切れすることはない。
 野菜の野草化栽培は果樹園…とか空地利用が主目的であって、…多収を目指すと失敗しやすい…。それはたいてい病害虫の被害によるものである。…混植されて雑草とともに共存共栄させるという形になると、その被害はわずか…。
 野菜が出来ない所は雑草も出来ないのがふつうで、雑草の種類とその生長量を見れば、その場所が痩せているか、特別な欠点があるかもわかるものである。その欠点を自然に解消せられるような手段をとっておけば、案外巨大な繁茂した野菜を得ることができる。(引用ここまで)
 ということで、慣行農法では連作を避けねばならない(4、5年空けよ)とされているジャガイモを少々作付けし、同じ場所で永年栽培することにしたい。
 →2017年11月13日 枯草と藁敷き込みで果樹園の淵にジャガイモの畝作り
 で、その結果はというと、初年度はまずまずであったが、2年目、3年目はチョウ不作となった。どれだけか土壌改良(深く起こして枯草や刻み藁投入)したが効果はほとんどない。そこで、2020年収穫後に苦土石灰を少々撒き、刻み藁もどれだけかすき込んだ。

 もう一つあった。それはショウガである。
 ここ2年、ショウガ栽培に取り組み、里芋の株間での作付けである。2018年から里芋は「たんじゅん農」にのっかて栽培することにし、併せてショウガも同様にできるであろうが、晩秋には全部掘り出さねばならない。
収穫したショウガの保存はけっこう面倒な感がする。
 そこで、ショウガはミョウガほどではなかろうが日陰を好むだろうから、フキ栽培のメインにしようと考えている隣地(工場建屋)の陰になる部分、その続きの西側をショウガ栽培用地としよう。
 今冬に土づくりをするにあたっては、「たんじゅん農」にのっかり、藁をすき込むだけの無肥料栽培とし、雑草に負けそうになったら草引きはするが、極力放任することとしよう。
 →2017年11月22日 ショウガの栽培
 その結果はというと、生育初期に日が当たらず、真夏にはけっこう日が当たるという条件の悪さから、収穫量が思いのほか少なく、この場所はあきらめるしかなくなった。そこで、2020年からは生育初期には日が当たり、真夏には日陰となる、柿の木の南淵での栽培に切り替えた。なお、土づくりは、隣地(工場建屋)の陰の場合と同じ。
 2020年、柿の木の南淵で無肥料栽培したところ、非常に好成績を収め、来年以降も、ここで連作することにした。 

 果樹園の周りには、まだまだ空きがあり、新たに2つ栽培することにした。
 一つは、いただいたキクイモ。随分と背丈が伸びるとのことであり、2018年1月に東果樹園の北東角(ビワや柿の北側)に2個植え付けた。
 →2018年1月2日 キクイモ(菊芋)を栽培してみよう
 →2018年10月 成長著しかったが、2本とも枯れてしまい、たぶん芋は出来ておらす、失敗に終わったと思ったが、翌年発芽し、少しばかり収穫できた。2020年は掘り残しの小芋からいっぱい芽吹き、間引きして10本ほどを生育させることにした。
 ところで、キクイモはたいしてうまいものではなく、類似したヤーコンで代用できるから、キクイモの栽培は2021年からは一人生えの小規模栽培に止めることとした。

 もう一つは、チマサンチュである。これは、ここ2年、南区画の一番西(日照時間が少ない)の畝で栽培していたが、東果樹園(東の柿の木)の南淵で種蒔きして栽培することとする。
 →チマサンチュの栽培
 2020年は栽培場所を中央の柿の木の南淵に移し、栽培しているが、どちらも十分な生育をしている。

 さらに栽培品種を追加。2019年2月24日、注文しておいたワラビの苗(地下茎)5株が届き、みかんの木の際に2株、その続きのタラの木の間に3株植え付けた。
 →ワラビの栽培
 これは残念ながら凍みてしまったようで発芽しなかった。 

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当面は自然農法と慣行農法の両刀遣い [自然農法:総論]

 このブログ「チャレンジ自然農法」は、2017年春に知った「たんじゅん農」(=炭素循環農法)を主な拠りどころとしています。その「たんじゅん農」の詳細は、サイト「百姓モドキの有機農法講座」 http://tan.tobiiro.jp/etc/home.html をご覧ください。
 なお、「たんじゅん農」の概要と、その後に知った河名秀郎さんが勧めておられる無肥料・無農薬の「自然栽培」の概要については、このブログの最初の記事(下記)をご覧ください。
 「たんじゅん農」との出会い、そして河名秀郎さんの「自然栽培との出会い」

(2017年11月19日)
 「たんじゅん農」に出会ってから、これに段々とはまってしまったのだが、全部を一度に行うとなると、最悪全滅という憂き目に遭いかねない。
 そこで、基本的に2枚ある畑のうち須賀前の畑で「たんじゅん農」の実験を継続して行い、自宅前の畑は慣行農法でいくということで今冬の野菜栽培を始めたところである。
 なお、冬野菜に先行して須賀前の畑で夏野菜をトマトだけ無肥料で試験栽培した。その結果はまずまずの成績であったが、残留肥料がどれだけかはあったろうから、評価は来年以降にしか下せない。冬野菜(一部はトマト跡)についても、現在、順調に成育しており、一部で収穫が始まったが、同様である。ただ言えることは、どちらも虫害は従前どおり発生しており、「たんじゅん農」が目指すところの健全な土壌細菌叢がいまだ出来ていないことは確かだ。

 さて、自宅前の畑の夏野菜をどうするかである。将来的には「たんじゅん農」へ持っていきたいから、来春には連作できるように畝位置の修正を行うこととしたい。
 そして、3回に分けて時差栽培するキュウリ、2回に分けて時差栽培する十六豆(いずれも各回1畝ずつの栽培)の一部を「たんじゅん農」にのっとって無肥料連作栽培に取り組みたい。
 里芋(連作を嫌い4年空けよと言われる)については、3畝の栽培であり、大幅な収穫減があっても自家消費分ぐらいは採れようから、無肥料で連作して「たんじゅん農」でいくことにする。
 ピーマン、トマト(接木苗)、夏大根・夏キャベツ、チマサンチュ、枝豆、ニンニク(いずれも各1畝ずつの栽培)については、後日の検討とするが、気持ちは「たんじゅん農」に傾いている。
 また、昨年に試験栽培したトウモロコシ、これは残骸を「高炭素素材」として利用することを主目的とするから、これを空いているスペースや果樹苗を植えた場所で栽培し、もちろん「たんじゅん農」によることとする。

 夏野菜が終われば、冬野菜の作付けとなる。自宅前の畑では、ホウレンソウと小松菜を2回に分けて各1畝を時差栽培しているし、他に菊菜、カブ、ビタミン大根(須賀前でも1畝栽培)を1畝ずつ栽培している。
 これらは、今季、施肥しての慣行農法によったが、来年どうするかは後日の検討とする。

 ところで、当地特産の「徳田ねぎ」、うちではヤーコンに次いで栽培面積が大きい作物だが、これは無農薬で、有機肥料による連作しての慣行農法でもって十分に優良品ができており、2枚の畑で半々の栽培とし、どちらも複数畝を作付けしているが、品質を低下させないよう、当面、慣行農法によることとする。
 これは、「たんじゅん農」の基本は、土づくりを行った後は土壌細菌叢を乱さないことに主眼を置いているのに対して、「徳田ねぎ」の場合は何度も土寄せして高畝とせざるを得ないし、収獲時に畝を完全に崩さざるを得ず、土壌細菌叢を完璧に乱してしまうからである。
 もっとも、河名秀郎著「ほんとの野菜は緑が薄い」で、無肥料「自然栽培」を勧めておられるが、これによれば「積極的に耕す」となっており、真逆である。
 少々面食らうが、どちらの農法も一理あり、迷わされるところである。
 ついでながら、「ほんとの野菜は緑が薄い」は、「徳田ねぎ」の栽培を通して思うに、間違いないであろう。当地で市場に出回る「徳田ねぎ」の葉の色は濃い。窒素分の多い化学肥料を最後の追肥で少々多めに与えると色が濃くなるうえに葉折れが少なくなり商品価値が高まるのである。それに対して、うちは、施肥は最初の1回だけとし、有機肥料主体(ただし、今年は試験的に須賀前の畑だけ石灰窒素を少々投入)としており、施肥量も控えている。よって、葉折れが若干目立ち、他の農家より色が薄くて商品価値は落ちるが、甘くて柔らかいネギができるのである。大半を贈答品として遠方へ送ったり、当店のお客様に差し上げるのだが、好評を博している。うちの「徳田ねぎ」は小生の唯一の自信作である。
 大成功している作物は、どうしても栽培法が保守的にならざるを得ない。“今のままでいいじゃないか”となってしまうのである。幸い、ネギ畝には大して雑草も生えないし、施肥も畝間に少々ばら撒くだけで簡単に済ませられるから、なおさらである。自然農法を取り入れて成功したとしても、少々の肥料代が浮くのは確かだが、はたして今以上に美味しいネギになるかどうか、葉折れが目立つようになりはしないか、そうしたことを考えると、農法を変えることに躊躇せざるを得ないのである。
<2018年夏野菜>
(5月29日)
 当地特産の「徳田ねぎ」は、4月22日にネギ苗を仮伏せし、5月22日に施肥して土寄せを行った。これは慣行農法でいくことし、梅雨明け後に行う本伏せも施肥しての栽培とする。
 それ以外の夏栽培物は全て無肥料での作付けとすることで進行中である。
(11月8日)
 夏野菜について、無肥料でどうだったかの判定は、今年はできない。残留肥料があることと、今夏の異常な高温とけっこう長かった旱魃の影響も考えられるからだ。
 冬野菜・春野菜については、当初考えたようにネギは慣行農法、その他は無肥料栽培でいくこととしたが、若干変えた作物がある。
 ハクサイは肥料を欲しがり、ポット苗の場合、無肥料の土には根が伸びていかない恐れがあるとのことで、ハクサイ2列のうちポット苗を植える畝には牛糞堆肥を少々入れ、定植穴にも少々牛糞堆肥を入れることとした。そして、直播栽培の列は無肥料とし、比較実験を試みた。しかし、初期の段階で虫食いがひどく、直播の列から頻繁に移植したり、追加種蒔きしたから、ぐしゃぐしゃになってしまい、比較実験はきれいにはできそうにない。
 ニンニクもまた肥料を欲しがるとのことで、無肥料では小さな球になりそうで、「肥料もどき」の対応をすることとした。つまり、草木灰を振り、これはアルカリ性がきついので、竹酢液を薄めたものを同時に散布し、中性にするというものである。近日、実行の予定だ。
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自然農法も中途半端にやると失敗することを実感、本腰を入れて成功させたい [自然農法:総論]

 福岡正信著『無「Ⅲ」自然農法』を読んで、「不耕起・無施肥・無農薬で雑草との共生を図る」という農法の一部を取り入れ、2014年にハクサイで行ってみた。
 「不耕起と雑草との共生」の2つを取り入れたのだが、これは、枯れたものは引き抜かずに残す(張った根が腐り、それが肥料になる)という考え方である。
 ハクサイ2畝作付けのうち1畝をオクラの畝の後作とし、まだ収穫できるオクラを残して、畝をそのまま使うこととした。その畝には雑草がけっこう生えていたが、ハクサイのポット苗を植え付ける場所だけ除草して植え付け、無肥料ではやはり心配であったので、その周りに肥料(苦土石灰、種粕、有機肥料粒、鶏糞、牛糞)を適当量埋め込んだ。そして、後日、オクラの収穫が終わってから、残しておいたハクサイのポット苗を同様にして植え付けるという方法を取った。
 その結果はというと、まずまずハクサイは成育してくれたものの、畑全体で輪作していたからハクサイ跡をビッチュウで起こすのに、雑草の根張りがために大変な労力を要した。他の品種の栽培畝も、基本的に「雑草との共生」を図ったがために、同様に苦労させられた。
 どの畝も、そのまま利用すれば良いのであろうが、畑を3区画に分けて輪作しており、畝を立て直して作付けせざるを得ないネギ(仮伏せ2畝、本伏せ4畝)があり、また、タマネギとイチゴは台形の広幅畝としていたり、作付け品種によって畝幅や畝高を変え、全ての畝を作り直さねばならなかったから、これは必然のことであった。
 (畑起こしに耕運機を使えば労力はほとんど要らないのだが、体力維持のためにもビッチュウを使いたかったし、なぜか耕運機は好きになれないのである。大型の手押し耕運機はお隣さんから借りられるから、以前に使ってみたが、あまりにも土を細かくかき混ぜすぎることに何だか嫌悪感を感じて、ここ数年は借りていない。今、思うに、どうやらこれは当たっているようである。耕運機は土壌細菌叢をかき乱してしまうのである。)
 こうして、自然農法の最初の試み、「雑草との共生」は、その年1年だけで止めてしまった。
 考えてみれば、輪作するための畝の作り直しというものは大間違いと言えよう。雑草と共生させた畝をそのまま使って初めて効果が出ようというものであり、かつ、自然農法はたとえ有機肥料であっても肥料なるものは不要となるのだから、なんともトンチンカンなことをしたものである。

 次に失敗したのは、放任しておいても自然農法ができていた果樹3種類である。これに肥料を多投すればより良くなると思い、2016年にイチジク、オレンジが掛かったみかん、柿の木に肥料をたっぷり与えたところ、イチジクは枯れてしまったし、オレンジが掛かったみかんは弱々しくなって実が全く生らなかったし、柿はヘタムシの大被害を被った。
 果樹のうち肥料多投で成功したのは、みかんと甘夏である。甘味のないみかんと酸っぱいだけの甘夏は、3年ほど前からの意識的施肥により甘味が出て市販品と変わらぬ美味しさとなった。これらはきっと土壌が良くなかったから施肥栽培に成功したのであろう。
 結果論となるが、十分に美味しかった前者の3品種は土壌が良かったのであり、後者の2品種だけ施肥すればよかったのである。後者の成功に味を占めて、前者がもっと甘くて美味しいものにならないかと欲を出して前者にも施肥をしっかりしたことで失敗したのである。
 施肥したことにより、全ての果樹の土壌菌形態が変化してしまい、この先どうなるか困惑しているところだが、今後は無肥料とし、前者はトウモロコシを植えたり下草を思いっきり生やしてやって余分な肥料を吸い取らせるしかなかろうし、後者は前者の枯草を刈り取って樹木周りに覆い、堆肥化させる方法をとるしかなかろうと思っている。これは今年から実行しているところである。

 3つ目の失敗は、自然農法とは別の問題ではあるが、ゴーヤ栽培である。ずっと放置してあった畑の部分、ここは大きな樹木が2本あったりして、これを伐採した辺りだが、ビニールハウス(ミニサイズ)を作り、夏季はこれに魚網を張り、ゴーヤのツルを這わせることにした。苗を植え付ける箇所だけ鍬で若干の土起こしをし、どれだけか施肥して栽培した。これがとんと生育が悪いのである。原因は根張りが進まなかったことによることだろう。周辺の土がばんばんに硬いうえに土壌が痩せていたから、ゴーヤの根張りが不十分かつ栄養吸収がとんと進まなかったに違いない。ここは、硬い土を広範囲にほぐしてやるだけでも随分と生育できたのではなかろうか。
 
 いずれの失敗も、最大の原因は、土壌中の細菌叢の適正化がうまくできていなかったことにあろう。植物の健全な成育は「肥料よりも土壌細菌との共生」にかかっている、こう考えるしかないと思われるのである。
 そうしたことから、年数はかかるであろうが、本腰を入れて「土壌細菌との共生」をいかにして図るか、これに重点を置き、作物によってケースバイケースで取り組むことにした次第である。
 なお、今春、夏野菜のうちトマトだけ無肥料栽培したのだが、その畝作りのときには“施肥したい”という衝動にかられた。でも、10月に小松菜とホウレンソウ第2弾の畝作りのときは“施肥したくない”という気分になり、11月にジャガイモの畝作りを行うに当たっては“無肥料でいこう!”と真から思っただけではなく、“肥料は毒になる。肥料を入れてはいかん。”とさせ思えるようになった。こうして今や無肥料を貫徹することに迷いはなくなった。

 今後、取り組もうとしている野菜づくりは大別して3つのパターンに分かれる。
 先ず、一番目は、畑での通常の野菜づくり。これは畝をそのまま利用して、当面は表層(最大10cm)のみ削って刻み藁を敷き込み、土壌細菌が健全になったら、土いじりは最小限にするという「たんじゅん農」に基づく方法である。そして連作障害が出ると言われている作物も、土壌細菌叢が適正化すれば連作できるとのことであり、最初から極力連作することとする。
 二番目は、大きく掘り起こす必要がある芋類と大きく土寄せせねばならないネギである。どちらも大きく土をいじることになり、土壌細菌叢をかき混ぜてしまう。「たんじゅん農」では、これは良くないようであり、どうしたものか、とんと弱るが、これも刻み藁(または藁をそのままの姿で)を、(前者は地上部の残骸も)入れ込むことで当面進めようと考えている。拠りどころとしては、河名秀郎さんが勧める自然栽培であり、「肥毒を早く抜くために積極的に耕す」という「たんじゅん農」とは真逆の方法である。
 三番目は、果樹園での下草としての野菜栽培である。これは、福岡正信氏の自然農法を基本としつつ、「協生農法 実践マニュアル2016年度版」に従ったものである。
 2018年は、果樹園の淵に、連作障害が出ると言われるジャガイモを植え付け、連年栽培に取り組むことにしているし、また、枝豆もそうする予定である。

 こうして、今年の後半から、冬野菜の半分は従前の慣行農法としたものの、本腰を入れて自然農法に取り組むことにしたところであるが、来年はさらに徹底して取り組み、失敗があっても決してそれにくじけることなく、問題点を究明しつつ、自分なりに自然農法を推進していきたいと覚悟を決めたところです。

(追記:別立てブログより)
 世間一般、長く農業をやっていくには、省力化であり、通常、機械化であると言う。うちのような小規模耕作(畑と果樹園で800㎡)以下であっても耕運機ぐらいは持っておられるのが普通だろう。女房も、耕運機を買ったら、と言うが、必要とあれば、お隣さんの新家(分家)から借りれば良い。
 現に、休耕田のコスモス畝は冬季に耕運機を借りて畝の表層を耕している。雑草の根張りが凄まじく、ビッチュウでは歯が立たない。耕運機なら楽々こなしてくれ、これによってコスモスの芽吹き、生育も良い。だがしかし、これも、もうやる予定はない。近年、コスモスが雑草に負けてしまい、ほとんど生育しなくなったからである。無駄な労力は使いたくなく、コスモスは道路側の土手で自然繁茂するから、ここだけ咲かせることで妥協した。
 機械なしとなると、ビッチュウ、鍬、テンワ(手鍬)での人力となるが、ビッチュウでの畑起こしは、そろそろ限界に近づいてきた。あと6年で小生は後期高齢者となる。ビッチュウはその歳まで、ということになろう。次は鍬だが、その先10年、85歳が限界だろう。残すはテンワだけであり、畝の削り上げを細々行うだけとなる。
 そうした(遠いようで近い?)将来を考えると、どうしても「不耕起」栽培へ持って行かねばならぬ。今から早速にも自然農法への取り組みを図っていかないことには、生涯現役を貫くことはできないのである。
 自然農法と一口に言っても、紹介されている手法はいろいろある。それぞれ長短がありそうで、その地の土壌・気候条件にも大きく影響されそうだし、作付け品種にも左右されそうだ。
 あれこれ何もかもうまく育てようとなると、それは連立多元方程式を解くことになり、とてもじゃないが時間がない。百姓は1年に1回しか実験できないのであり、小生の場合、あと20回ほど実験をやると、テンワがやっと持てるだけの歳(90歳)となる。
 ここ数年が勝負となるであろう。6年経てば後期高齢者となるから、それまでに省力化農法を確立せねばならないのである。
 そこまで持っていく間、試行錯誤の連続であろうし、失敗も多いに違いない。このブログで、そうしたことも包み隠さず記録していこうと思っている。このブログをお読みいただく方のためにも。

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無肥料では野菜は育たないという常識を覆すのは並大抵ではないが… [自然農法:総論]

 何年か前、畑の粗起こしをし、後日、有機肥料敷き込みをして畝を整形し、キュウリ苗を植えつける段取りをしていた。ところが、粗起こしを随分前にやっておいたものだから、その後の雨で畝が整形された状態となり、有機肥料はもう敷き込んであるものと勘違いし、無肥料で苗を植えてしまった。そうしたら、キュウリの生長が弱々しく、葉っぱの色が薄い。最初は苗作りの失敗かと思っていたが、だいぶ経ってから施肥していないことに気付き、あわてて有機肥料を埋め込んだり、即効性の化成肥料を与えたりしたところ、何日かして青々とした葉っぱになり、安堵したところである。“やっぱり野菜は肥料をたっぷり与えてあげなくっちゃ”である。
 こうして、小生は“野菜づくりは肥料をたっぷり使うことだ”という固定観念がしっかりと出来てしまった。また、これは美味しい野菜づくりの常識でもある。

 しかし、この世には無肥料自然栽培という農法がある。2、3年前に、一部その真似をしてみたのだが、ほとんどが失敗した。従前どおりの畝に単一作物を作付けし、いきなり無肥料・不耕起・無除草としたのだから、これではうまくいくわけがないのは必然だが、そのときも、不作の一番の原因は無肥料だと思っていた。

 さて、今年、「たんじゅん農」という新たな自然栽培法を知った。
 これも無肥料農法ではあるが、大雑把に言って、土壌が改善されるまでは少々耕して高炭素素材(特定の植物残渣)を入れ、当面少しは除草する必要があるというものである。
 これに興味を持ち、チャレンジしてみようという気になった。そこで、夏野菜から取り組むこととし、肥料過多を避けねばならないトマトについて、まず試験的にやってみることとした。トマトについては、何年か前に2、3度、時差収穫しようと1か月以上遅く第2弾苗を定植したことがあるのだが、毎回ツルボケしてしまい、全くの不作なり無収穫となった苦い経験がある。今年はトマト苗作りを冷床種蒔きせねばならなかったから、苗の定植は1か月は遅れ、またまたツルボケの恐れがある。よって、思い切って無肥料でいくことにした次第である。
 でも、全くの無肥料で果たしていいのか、とても不安になる。先に書いたとおりキュウリの例で、しっかり固定観念が出来あがってしまっているからである。そこで、無肥料といったん決めたものの、定植穴に牛糞堆肥だけは一握り程度入れ込んでしまった。
 その結果はというと、例年の半分程度の収穫量ではあったものの、半分ダメモトのあきらめがあったから、予想外の収穫となって十分に満足がいった。

 トマトが終わってしばらくして、後作にキャベツ類(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー)の苗植え付けの時期が来た。これも無肥料でいくことにした。しかし、無肥料ではうまく育たないのではないか。トマトはたぶん残留肥料があって普通に育ったんだろうが、もう残留肥料は底を突いているだろう。トマトと同様に定植穴に牛糞堆肥を入れ込みたくなる。ここは我慢。なんとか施肥の衝動を抑えつけて定植できたところである。
 果たして無肥料でキャベツ類が育つか、ずっと気になっていたが、その心配におよばず、すくすく育ってくれた。前の年よりも生育がいいくらいだ。これには驚かされた。

 冬野菜を何もかも無肥料として全部が不作となってはいかんからと、小松菜やホウレンソウは慣行農法とし、それらの第1弾は当たり前のように有機肥料を敷き込んで種蒔きしたのだが、キャベツ類の思わぬ生育ぶりを見て、小松菜とホウレンソウの第2弾畝作りに当たり、はてさていかがしたものかと迷いが生じた。無肥料でいいのではないかと。
 まあ、ここは、肥料の在庫もけっこうあるから、それを使うことにしよう。そう思い直して各種有機肥料を入れにかかった。小松菜とホウレンソウの第1弾などのときは、“しっかり各種有機肥料を入れて、おいしい野菜を作ろう”との思いで、全部の種類の肥料を入れ忘れないように気を配ったものだが、小松菜とホウレンソウの第2弾畝作りにあっては、全く違う気分にさせられた。
 “前回どおりの量を入れるとなると、かなりの量になるなあ。これじゃあ肥料の与えすぎになるんじゃないのかあ。小松菜君たちやホウレンソウ君たちが満腹になりすぎて苦しい苦しいって言うかもしれんぞ。人間や動物と一緒じゃねえのかなあ。人間や動物は餌がメチャ多いと、かえって体に悪いってことになるのは常識だ。それと同じことだ。”
 こうして、トマトのときは“施肥したい”という衝動にかられたのだが、小松菜とホウレンソウ第2弾のときは“施肥したくない”との気分にさせられた。

 この先、無肥料栽培に失敗するかもしれないが、「肥料はしっかり与えなければならないもの」という常識、固定観念が、今ではすっかり失せてしまった。
 この心変わりは、摩訶不思議なものである。いったん染み付いた固定観念というものは、容易には打破できないものであり、常識は非常識・非常識が常識といった柔軟な発想を妨げるのであるが、幸いかな小生はトマトとキャベツ類がたまたまではあろうがうまくいって、そうした固定観念からいとも簡単に脱却できたところです。
 「たんじゅん農」へ一歩前進! そうあらんことを自分で自分に祈っているところです。
(3日後に追記)
 来春に初めて栽培に取り組むジャガイモの畝作りを行うに当たり、“無肥料でいこう!”と真から思っただけではなく、“肥料は毒になる。肥料を入れてはいかん。”とさせ思えるようになった。
 どうして、このように心変わりしてきたのか、自分でもよく分からないが、自然農法へ大きく一歩を踏み出せたことは確かであり、自然農法がきっと成功するだろうという自信さえ湧いてきたから不思議なものである。
 こうして、今、夢中になってしまった「無肥料自然農法」への取り組みである。
 
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