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自然農法も中途半端にやると失敗することを実感、本腰を入れて成功させたい [自然農法:総論]

 福岡正信著『無「Ⅲ」自然農法』を読んで、「不耕起・無施肥・無農薬で雑草との共生を図る」という農法の一部を取り入れ、2014年にハクサイで行ってみた。
 「不耕起と雑草との共生」の2つを取り入れたのだが、これは、枯れたものは引き抜かずに残す(張った根が腐り、それが肥料になる)という考え方である。
 ハクサイ2畝作付けのうち1畝をオクラの畝の後作とし、まだ収穫できるオクラを残して、畝をそのまま使うこととした。その畝には雑草がけっこう生えていたが、ハクサイのポット苗を植え付ける場所だけ除草して植え付け、無肥料ではやはり心配であったので、その周りに肥料(苦土石灰、種粕、有機肥料粒、鶏糞、牛糞)を適当量埋め込んだ。そして、後日、オクラの収穫が終わってから、残しておいたハクサイのポット苗を同様にして植え付けるという方法を取った。
 その結果はというと、まずまずハクサイは成育してくれたものの、畑全体で輪作していたからハクサイ跡をビッチュウで起こすのに、雑草の根張りがために大変な労力を要した。他の品種の栽培畝も、基本的に「雑草との共生」を図ったがために、同様に苦労させられた。
 どの畝も、そのまま利用すれば良いのであろうが、畑を3区画に分けて輪作しており、畝を立て直して作付けせざるを得ないネギ(仮伏せ2畝、本伏せ4畝)があり、また、タマネギとイチゴは台形の広幅畝としていたり、作付け品種によって畝幅や畝高を変え、全ての畝を作り直さねばならなかったから、これは必然のことであった。
 (畑起こしに耕運機を使えば労力はほとんど要らないのだが、体力維持のためにもビッチュウを使いたかったし、なぜか耕運機は好きになれないのである。大型の手押し耕運機はお隣さんから借りられるから、以前に使ってみたが、あまりにも土を細かくかき混ぜすぎることに何だか嫌悪感を感じて、ここ数年は借りていない。今、思うに、どうやらこれは当たっているようである。耕運機は土壌細菌叢をかき乱してしまうのである。)
 こうして、自然農法の最初の試み、「雑草との共生」は、その年1年だけで止めてしまった。
 考えてみれば、輪作するための畝の作り直しというものは大間違いと言えよう。雑草と共生させた畝をそのまま使って初めて効果が出ようというものであり、かつ、自然農法はたとえ有機肥料であっても肥料なるものは不要となるのだから、なんともトンチンカンなことをしたものである。

 次に失敗したのは、放任しておいても自然農法ができていた果樹3種類である。これに肥料を多投すればより良くなると思い、2016年にイチジク、オレンジが掛かったみかん、柿の木に肥料をたっぷり与えたところ、イチジクは枯れてしまったし、オレンジが掛かったみかんは弱々しくなって実が全く生らなかったし、柿はヘタムシの大被害を被った。
 果樹のうち肥料多投で成功したのは、みかんと甘夏である。甘味のないみかんと酸っぱいだけの甘夏は、3年ほど前からの意識的施肥により甘味が出て市販品と変わらぬ美味しさとなった。これらはきっと土壌が良くなかったから施肥栽培に成功したのであろう。
 結果論となるが、十分に美味しかった前者の3品種は土壌が良かったのであり、後者の2品種だけ施肥すればよかったのである。後者の成功に味を占めて、前者がもっと甘くて美味しいものにならないかと欲を出して前者にも施肥をしっかりしたことで失敗したのである。
 施肥したことにより、全ての果樹の土壌菌形態が変化してしまい、この先どうなるか困惑しているところだが、今後は無肥料とし、前者はトウモロコシを植えたり下草を思いっきり生やしてやって余分な肥料を吸い取らせるしかなかろうし、後者は前者の枯草を刈り取って樹木周りに覆い、堆肥化させる方法をとるしかなかろうと思っている。これは今年から実行しているところである。

 3つ目の失敗は、自然農法とは別の問題ではあるが、ゴーヤ栽培である。ずっと放置してあった畑の部分、ここは大きな樹木が2本あったりして、これを伐採した辺りだが、ビニールハウス(ミニサイズ)を作り、夏季はこれに魚網を張り、ゴーヤのツルを這わせることにした。苗を植え付ける箇所だけ鍬で若干の土起こしをし、どれだけか施肥して栽培した。これがとんと生育が悪いのである。原因は根張りが進まなかったことによることだろう。周辺の土がばんばんに硬いうえに土壌が痩せていたから、ゴーヤの根張りが不十分かつ栄養吸収がとんと進まなかったに違いない。ここは、硬い土を広範囲にほぐしてやるだけでも随分と生育できたのではなかろうか。
 
 いずれの失敗も、最大の原因は、土壌中の細菌叢の適正化がうまくできていなかったことにあろう。植物の健全な成育は「肥料よりも土壌細菌との共生」にかかっている、こう考えるしかないと思われるのである。
 そうしたことから、年数はかかるであろうが、本腰を入れて「土壌細菌との共生」をいかにして図るか、これに重点を置き、作物によってケースバイケースで取り組むことにした次第である。
 なお、今春、夏野菜のうちトマトだけ無肥料栽培したのだが、その畝作りのときには“施肥したい”という衝動にかられた。でも、10月に小松菜とホウレンソウ第2弾の畝作りのときは“施肥したくない”という気分になり、11月にジャガイモの畝作りを行うに当たっては“無肥料でいこう!”と真から思っただけではなく、“肥料は毒になる。肥料を入れてはいかん。”とさせ思えるようになった。こうして今や無肥料を貫徹することに迷いはなくなった。

 今後、取り組もうとしている野菜づくりは大別して3つのパターンに分かれる。
 先ず、一番目は、畑での通常の野菜づくり。これは畝をそのまま利用して、当面は表層(最大10cm)のみ削って刻み藁を敷き込み、土壌細菌が健全になったら、土いじりは最小限にするという「たんじゅん農」に基づく方法である。そして連作障害が出ると言われている作物も、土壌細菌叢が適正化すれば連作できるとのことであり、最初から極力連作することとする。
 二番目は、大きく掘り起こす必要がある芋類と大きく土寄せせねばならないネギである。どちらも大きく土をいじることになり、土壌細菌叢をかき混ぜてしまう。「たんじゅん農」では、これは良くないようであり、どうしたものか、とんと弱るが、これも刻み藁(または藁をそのままの姿で)を、(前者は地上部の残骸も)入れ込むことで当面進めようと考えている。拠りどころとしては、河名秀郎さんが勧める自然栽培であり、「肥毒を早く抜くために積極的に耕す」という「たんじゅん農」とは真逆の方法である。
 三番目は、果樹園での下草としての野菜栽培である。これは、福岡正信氏の自然農法を基本としつつ、「協生農法 実践マニュアル2016年度版」に従ったものである。
 2018年は、果樹園の淵に、連作障害が出ると言われるジャガイモを植え付け、連年栽培に取り組むことにしているし、また、枝豆もそうする予定である。

 こうして、今年の後半から、冬野菜の半分は従前の慣行農法としたものの、本腰を入れて自然農法に取り組むことにしたところであるが、来年はさらに徹底して取り組み、失敗があっても決してそれにくじけることなく、問題点を究明しつつ、自分なりに自然農法を推進していきたいと覚悟を決めたところです。

(追記:別立てブログより)
 世間一般、長く農業をやっていくには、省力化であり、通常、機械化であると言う。うちのような小規模耕作(畑と果樹園で800㎡)以下であっても耕運機ぐらいは持っておられるのが普通だろう。女房も、耕運機を買ったら、と言うが、必要とあれば、お隣さんの新家(分家)から借りれば良い。
 現に、休耕田のコスモス畝は冬季に耕運機を借りて畝の表層を耕している。雑草の根張りが凄まじく、ビッチュウでは歯が立たない。耕運機なら楽々こなしてくれ、これによってコスモスの芽吹き、生育も良い。だがしかし、これも、もうやる予定はない。近年、コスモスが雑草に負けてしまい、ほとんど生育しなくなったからである。無駄な労力は使いたくなく、コスモスは道路側の土手で自然繁茂するから、ここだけ咲かせることで妥協した。
 機械なしとなると、ビッチュウ、鍬、テンワ(手鍬)での人力となるが、ビッチュウでの畑起こしは、そろそろ限界に近づいてきた。あと6年で小生は後期高齢者となる。ビッチュウはその歳まで、ということになろう。次は鍬だが、その先10年、85歳が限界だろう。残すはテンワだけであり、畝の削り上げを細々行うだけとなる。
 そうした(遠いようで近い?)将来を考えると、どうしても「不耕起」栽培へ持って行かねばならぬ。今から早速にも自然農法への取り組みを図っていかないことには、生涯現役を貫くことはできないのである。
 自然農法と一口に言っても、紹介されている手法はいろいろある。それぞれ長短がありそうで、その地の土壌・気候条件にも大きく影響されそうだし、作付け品種にも左右されそうだ。
 あれこれ何もかもうまく育てようとなると、それは連立多元方程式を解くことになり、とてもじゃないが時間がない。百姓は1年に1回しか実験できないのであり、小生の場合、あと20回ほど実験をやると、テンワがやっと持てるだけの歳(90歳)となる。
 ここ数年が勝負となるであろう。6年経てば後期高齢者となるから、それまでに省力化農法を確立せねばならないのである。
 そこまで持っていく間、試行錯誤の連続であろうし、失敗も多いに違いない。このブログで、そうしたことも包み隠さず記録していこうと思っている。このブログをお読みいただく方のためにも。

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